明治国際医療大学附属駅前鍼灸センター便り  2002年4月1日

 

 鍼灸臨床の現場より  第14号


     

 

     

 

   

  

   

    

 

     

 

 

 大学へ

 

 

血圧コントロールに鍼灸を

       廣 正基


1.
高血圧症について
 高血圧症は「サイレントキラー」といわれ、血圧が高いだけで自覚症状がない疾患です。そのまま放置しておくと、脳血管障害や虚血性心疾患などのリスクファクターとなるだけに血圧を管理することは重要です。高血圧症は、他の疾患の部分症状となっている二次性高血圧症と現在その原因が不明な本態性高血圧症とがあり、高血圧症の約90%はこの本態性高血圧症です。本態性高血圧症の原因は現在なお不明で、遺伝・体質・環境因子に加えて、食塩・電解質代謝、中枢・末梢神経、腎、細胞膜機構、神経・体液・内分泌因子などの異常が相互に関連することで、血圧調節因子が血圧を上昇させるものと考えられています。  

2.高血圧症を有する鍼灸治療患者の実態調査

 高血圧症は自覚症状がほとんどありませんが、鍼灸臨床において高血圧症の既往をもつ患者がどれだけ存在するか、また、高血圧関連の愁訴の存在を検討するために、明治国際医療大学附属鍼灸センター来院患者を対象に検討したところ、鍼灸治療患者の半数は高血圧の既往を持ち、大半が服薬治療を受けられている患者さんでした。さらに、高血圧に関連する愁訴を調べてみると図のように高血圧症を有さない患者さんより肩こり、頭痛、頭がボーとする、目の疲れ、動悸について、いずれも高血圧の既往を持つ患者さんの方が多く愁訴を有していました。  
  

3.高血圧症に対する鍼灸治療
  食塩、酒、肥満、運動不足、ストレスなどは高血圧の危険因子と呼ばれており、これらを排除することが高血圧を予防するうえで極めて重要と言われています。

 高血圧になっている要因を明確にする事は重要ですが、原因がはっきりしない本態性高血圧症などは、危険因子の排除のため生活改善がすすめられています。また、ストレスなどの感情の乱れが重なると、血流バランスが乱れ、血圧が高くなることがあります。 鍼灸治療は四肢末梢の循環を改善させ、精神的ストレスによる肩こりや不眠などがあればこれに対しても施術すると自律神経機能の調整ができ、生活習慣の改善に役立てられます。