明治国際医療大学附属鍼灸センター便り  2003年4月1日

 

 鍼灸臨床の現場より  第22号


     

 

     

 

   

  

   

 

  

   

   

 

 

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福祉施設に入所する高齢者に対する鍼灸治療

       高 橋 則 人
1.施設入所者の疾病の特徴
 
日本には現在約2300万人の高齢者(65歳以上)がいます。その中には、特別養護老人ホーム等の高齢者福祉施設で生活されている高齢者もいます。このような施設入所者に多い疾病の特徴は、いわゆる「慢性・退行性疾患」と呼ばれる症状が多いことです。また、施設入所者では、急な生活環境の変化などに伴う精神的な症状も出現します。

2.施設入所者に対する鍼灸治療 
 
明治国際医療大学では平成7年より、このような施設に鍼灸治療を導入し、施設入所者に対する治療を行ってきました。鍼灸治療では,変形性関節症などの「慢性・退行性疾患」に対して有用であり、さらに気分障害などの精神的な症状に対しても治療を行うことができます。また、高齢者では副作用の問題もあり、多量の投薬治療を行うことはできませんが、鍼灸治療ではその副作用はほとんどありません。すなわち、施設入所者に対して、鍼灸治療は非常に有効なのです。

3.施設入所者のQOLに対する鍼灸治療の効果 
 
明治国際医療大学では施設入所者に対する鍼灸治療、中でもQOL(quality of life:生活の質)に関する鍼灸治療の効果について検討しています。施設という限定された空間での生活は、我々の想像以上に高齢者にストレスを与えます。そんな中で鍼灸治療は、いわゆる痛みを伴う疾患の治療だけでなく、高齢者のQOLの向上・維持にも役立ちます。