1.便秘症とは?
便秘とは、各個人の健康時に比べ排便回数が減少し、水分の乏しい硬い便を数日に一回くらい排出する状態を言います。便秘は大きく2つに分けると症候性便秘と機能性便秘に分類することが出来ます。症候性便秘は腸管に癌や炎症などの病変があるもので、鍼灸治療だけでは対応出来ず、薬物や外科的処置が必要になります。一方、機能性便秘は大腸運動の減弱や排便習慣の乱れなどで起こり、鍼灸治療の適応になります。以下に慢性の機能性便秘(習慣性便秘)について説明します。
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1)弛緩性便秘
大腸運動が低下して腸内容が停滞するため便が硬くなり、排出までの時間が遅れるもの。野菜不足の食事による腸運動刺激の低下や老化による便秘があてはまります。
2)直腸型便秘
排便の習慣が乱されたことによって起こるもので、頻繁にトイレを我慢することによって起こります。正常な場合、直腸に便がたまると便意を催しますが、あまり便意を催さなくなります。
3)痙攣性便秘
腸管運動のリズムが乱れ、兎糞便を排出するのが特徴です。ストレスや心理的な乱れによって起こり、近年増加している過敏性腸症候群にみられます。
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2.便秘に対する鍼灸治療
鍼治療が適応となるのは慢性の習慣性便秘(機能性便秘)です。鍼刺激は腸管運動を促進あるいは抑制することが分かっており、弛緩性便秘における蠕動の抑制や痙攣性便秘における蠕動のリズムの不調和などを調整すると考えられています。
右の図は手の「合谷」と下肢の「足三里」というツボに10分間、鍼刺激をした時の腸音の変化を表しています。鍼刺激後に腸音が活発になっていることがわかります。
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便秘患者の多くは下剤を使用していることが多く、連用すれば常習性となることが多いようです。下剤の増加や連用に悩んでいた患者が、鍼灸治療によって下剤の減量あるいは使用しなくてもよくなったケースも多くみられます。常習性便秘で悩んでおられる方は、1度鍼灸治療を試してみられてはいかがでしょう。
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