明治国際医療大学附属鍼灸センター便り  2003年10月1日

 

 鍼灸臨床の現場より  第24号


     

 

     

 

   

  

   

 

  

   

   

 

 

 大学へ

 

 

アメリカ・カリフォルニア州における鍼灸治療患者の実態

       鶴 浩幸
1.様々な不快な症状の治療に利用される鍼灸治療 
 
アメリカにおいても、様々な苦痛に鍼灸治療を利用する人々が増えています。それでは鍼灸治療を受ける人々は、どのような症状の軽減を鍼治療 に期待しているのでしょうか?  カリフォルニア州のバークレー市にある鍼灸診療所での 2967名の患者を対象にした調査では、75%の患者が病名 ではなく、具体的な不快な症状の軽減を求めて受診してい ました。病名を訴えて病気そのものの治療を求めた患者は 22%であり、その他の患者は健康管理などを目的に来院し ていました。この結果から、アメリカカリフォルニア州で は、鍼灸治療に対して、漠然とした病名を訴える治療より も、具体的な不快な症状の軽減に鍼治療を利用患者が多く、 日常生活の中でより広く、身近に受け入れられていること がうかがわれました。


   
脈診を行うアメリカの鍼灸師

2.カリフォルニア州においても期待される「痛み」に対する鍼灸治療の効果 
 
具体的にはどのような苦痛の内容(主訴)に対して鍼治療を受けているのでしょうか? 症状を訴えた患者の中で最も多かった主訴は腰痛、頚部痛、背部痛、肩痛などの筋骨格系の痛みであり、実に45%を占めました。これに筋骨格系以外の痛み(頭痛、胃痛、喉の痛みなど)を含めると、症状を訴える患者の55%が痛みの症状を主訴とすることが分かりました。この結果は、日本から遠く離れた米国においても、痛みの軽減に対して鍼灸治療が期待されていることを示していると言えるでしょう。米国の鍼灸師も日本の鍼灸師と同様にこのような患者の期待に応えるために、日々努力しています。