1.鍼麻酔で手術が可能
1971年、中国を訪れたニューヨークタイムズ記者団が鍼麻酔での手術を伝えました。この記事は世界的に鍼治療への疑心に火を付け、鍼麻酔の機序について世界的に研究が進められた結果、現在、鍼麻酔の効果は下段の図に示す様に手の合谷に刺した鍼への低周波通電が脳を刺激し、脳下垂体などで内因性鎮痛物質(モルヒネ様物質)を産生し痛みを緩和さすることが明らかとなっています。これが鍼麻酔での手術までも可能にする作用があるのです。
2.鍼治療が鎮痛物質エンドルフィンを産生する
私たちの体の中には、痛みを起こし、いろいろと危険信号を発してくれるブラジキニンなどの「発痛物質」とこれとは逆に、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィン、セロトニンなど痛みをおさえる「鎮痛物質」があります。エンドルフィンなどはモルヒネ以上の鎮痛効果があるとも言われています。鍼治療は、脳下垂体や副腎皮質などに伝達され、このエンドルフィンなどの鎮痛物質を分泌させて痛みを緩和させます。鍼治療はこうした体内麻薬(エンドルフィン)を利用し痛みを抑えるのです。ただ、鍼治療はどこでも良いと言うわけではなく、手足の経穴(ツボ)でなければこの様な鎮痛効果は現れないのです。
3.鍼治療は血液中のエンドルフィン濃度を上昇させる
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我々の体内の血液にもこのエンドルフィンは存在しています。その濃度は何も刺激を受けない状態では10pg/ml以内が正常値ですが、実験で手の合谷に刺した鍼への低周波通電において鍼通電前5.6pg/mlから鍼通電30分には13.6pg/mlにエンドルフィン濃度が増加することが明らかとなっています。 この様に、エンドルフィンは血液中にも発現し全身に作用して鎮痛効果が現れるのです。
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