痩せるために食事を抜いたり、極端に食事の量を減らす選手をよく見かけます。食事制限をして、たとえ体重が減っても、疲労が溜まったり、栄養不足で故障を発生しては何の意味もありません。そうしたミスマッチをなくし、自身の健康増進、競技力向上につなげることはもちろんのこと、医療人となった際にも役立ててもらうことなどを目的に、このほど本学強化指定クラブおよびMAT(メディカルアスレチックトレーナー育成プログラム)に所属する女子学生を対象とした栄養セミナーを開催しました。
 「女性アスリート向上計画」と題したセミナー(約40分)は、本学でアスリートサポートセンターの食アドバイザーを務める桑原彩先生が担当。学生が自由な時間に参加できるようオンデマンド配信で行い、競技力向上に欠かせない日々の食生活の大切さ、月経と食事、身体強化やパフォーマンスと食事の関係などについて学びを深めました。また、9月27日(火)には、陸上競技部の中長距離部員(男女)を対象に、「自分に必要なエネルギー量を知り、正しい食事(栄養)を摂ろう」と題しセミナーを実施。体脂肪量や種目によってそれぞれ必要な1日のエネルギー量が異なります。消費量と同等のエネルギー量の食事を摂取することが大原則となります。自身の体格(身長・体重・体脂肪率)、トレーニングで消費されるエネルギー量を知った上で、成長とパフォーマンスアップに必要な食事のとり方(量・栄養素など)、おすすめのレシピ(メニュー)などについて学びました。今後もアスリートサポートセンターでは、定期的にアスリート向けのセミナー、講座を開催していく予定です。
【参加者の声】
・「(体重別のため)減量はつきものですが、その際、食事をただ減らすのではなく栄養バランスなどを考えて食事を摂りながら体重を落としていくことの大切さを学びました」
・「自分自身の体調管理を含め、コンディションや月経状況をしっかりと把握できていないと摂取すべきものを摂取できずに、偏った食事になってしまうことが分かりました」
・「ベストパフォーマンスのために食事の摂り方は重要で、一日の食事はもちろん試合前後や練習前後、月経前後などの食事はよりいっそう気を付けたいと思いました」
・「ケガをしないためにも、自炊をする際の食事をもう一度見直したい」
・「スポーツ前後の体重の差などあまり気にしたことがなかったので、自分の体重管理を行うことも、パフォーマンスには重要であると感じました」
・「アスリートとして、ベストパフォーマンスを出すためには、自分の身体に合わせた食事や生理中の食生活を管理することの重要性を学びました」
・「1日に必要な摂取カロリー、糖質の量を実際に計算してみると思ったより多くてびっくりしました」
・「今の食事では足りていないので少しづつ増やしたり、足りない栄養素を補いながら食事をしていこうと思います」
・「糖質はあまりとらない方がよいのかなとも思っていたので、もう少し積極的に取り入れても良いなと思いました」
<エネルギー必要量を知る>
●除脂肪体重 (LBM : 脂肪を除いた体重)
1. 体脂肪量(kg)=自分の体重(kg)×自分の体脂肪率(%)÷100
2. 除脂肪体重(kg)=自分の体重(kg)-自分の体脂肪量(kg)
●基礎代謝量(アスリート用)
基礎代謝量(kcal)=28.5×除脂肪体重(kg)
●種目系別身体活動レベル
種目カテゴリー  トレーニング日    オフ日
持久系       2.5     1.75
筋力・瞬発力系   2.0     1.75
球技系       2.0     1.75
その他       1.75     1.5
●1日に必要なエネルギー(kcal)=基礎代謝量×身体活動レベル
<例>体重50kg 体脂肪15%の長距離選手の場合(練習日)
体脂肪量=50(kg)×15(%)÷100=7.5(kg)
除脂肪体重=50(kg)-7.5(kg)=42.5 (kg)
基礎代謝量=28.5×42.5(kg)=1211(kcal)
持久系スポーツのトレーニング日身体活動レベル=2.5
1日の推定エネルギー必要量=3028(kcal)
※一般女性(体重50㎏)の場合=約2000(kcal)

栄養セミナーの様子

1日に必要なエネルギーを計算する学生