去る10月30日(水)、31日(木)の2日間にわたりポルトガルより3名の講師をお招きして第25回国際学術交流講演会を開催しました。
1日目は世界最大級のスポーツクラブとして知られているSports Lisboa e Benfica の診療部長であり、ポルトガルオリンピック委員会のチーフドクターでもあるJoão Pereira Almeida先生に「ポルトガルにおけるサッカーの医学的側面」と題して講演をいただきました。世界サッカー連盟(FIFA)のランキングで第6位の好成績を収めているポルトガルのサッカーチームの背景にはアルメイダ先生が長年培ってきたトレーニング理論や予防医学的な身体のケアの実践が大きく係わっており、一流アスリートの育成プログラムについて具体的な興味深い話を聞くことが出来ました。
引き続きポルトガルオリンピック委員会のドーピング部門の責任者として活躍されているMaria João Cascais先生に「アスリートの病気とドーピングにいかに対処するか」をテーマにご講演いただきました。ドーピングの及ぼす健康被害について具体的な例を挙げて紹介され、薬物が使えない場合の対処として鍼治療が有益であることも強調されました。
今回の講演会は、通訳なしで英語のみの講演でしたが、日本語の配布資料や司会者が適宜、日本語で解説を加えたことにより分かり易い内容になったと思われます。会場は立ち見ができるほどとなり、講演後は学術交流として講演内容やポルトガルに関する質疑が活発に行われ、ポルトガルでのスポーツ事情について理解を深めることができる良い機会となりました。
また、2日目はリスボン在住のTSUCHIYAペインクリニック院長の土屋光春先生に「さまざまな難治性疾患に対する鍼治療」として、主に鍼灸学科の上級生と大学院生約50名を対象として講演と実技供覧をしていただきました。また、その後、数名の参加学生が抱える個別の症状に対する電気針治療の体験治療が行われました。鍼治療は一回で終わることはまれで繰り返しの治療が重要であり、それを理解いただくためには信頼を得ることが大切との言葉がありました。